水夏
Windows  CIRCUS
ジャンル:「夏」アドベンチャー

わけわかんないジャンル名ですが、言ってしまいましょう。
「恐怖ゲーム」です。
下手なホラーよりよっぽど「怖い」内容です。
爽やかな見た目に騙されてはいけません。

システム的には、全4章オムニバス形式のテキストノベルです。
同一空間、同一時間軸上で微妙に重なり合いながら4つの話が展開されます。
もっともシナリオまで関連性はありません。章自体は独立しており、他章のキャラはほんの少し出てくるだけです。
ただ、それが重要な場面であることが多いため、相互に絶つことのできない関係が出来ています。
ちなみに2、3章をバッドエンドでクリアすると4章のベストエンドが見れません。御注意を。


 第一章
4つの視点が入り乱れ、物語が平行して語られます。
話が断片的に流れるので、シナリオの俯瞰的な把握が困難になっています。
それを称して「わけがわからん」とか言ってる奴がいますが、 テメーの頭が悪いのを人のせいにすんじゃねえ!
 シナリオの空白は保留して頭の中で時系列を整理すれば、 話の筋自体はわりとわかりやすい内容です。 一ヶ所だけ卑怯な点があるので完全な謎解きはできませんが、 伏線となる部分は意図的に引っかかるような表現になってますし、 特に重要な部分には傍点まで打ってあります。 これで気付かない方がどうかしてる。
 気付く人は最初の過去の神社のグラフィックで気付くんだろうなあ…私にはとても無理です。

 ちなみに、テキストノベルのくせに第一章は完全な一本道です。なにしろバッドエンドがない(バッドエンドしかない)


 第二章
 みんな第二章マンセーとかさやか萌えとか言ってるが本当か? 本当にそーか?  私はこの章が一番怖かったぞ。
 ハッピーエンドルートなら確かに全ての伏線が解明される とってつけたような納得感を感じないでもないが、 バッドルートはそりゃもう危険人物てんこ盛り。
 萌え度一番と名高いさやか嬢からして笑うことのできない、笑うことしかできない暗い影を負った人であるし、 若山牧水がやさしいって言う時点でどうかと思うし。 他にもブラコンとか馬鹿とか挙動不審とかそんなのばっか。
 実は一番危険なのは主人公であるが。こいつが一番狂ってます。
そして明らかにバッドエンドルートこそが真のルートです。

若林美絵が唯一の普通キャラで、彼女が出てくる一瞬だけは安心できます。
PS、DC版だと彼女ルートも存在するのですが、こっちルートだと美絵まで壊れてしまう(;つД`)

 第三章
 選択肢がひとつしかありません。 元々全体的に一本道のゲームですが、この章は本気で読むだけです。 一見無関係な二つの視点で話が進み、徐々にそれが絡み合い、 ひとつになったところでそのたったひとつの選択肢が訪れます。 それまでに気付いていればハッピーエンドを迎えることができるでしょう。
 たしかに引っかかる表現は多々あったのですが、残念ながら私は気づけませんでした。
 それを称して「終わるまで気がつかない伏線」とか言ってる人がいますが だから自分の馬鹿さを露呈するんじゃねーっての。

 トリックはやはり少々卑怯でこそありますが、 第一章とは違い現実に起こらないとは言えないことなので、 注意深い人は気付いてもおかしくありません。
 ただ、随時セーブ&ロード可能なので、選択肢でセーブしてしまえば迷うこともありませんが。

 それにしても、怖いです。
怖いと言うより戦慄の狂気、それも日常に埋没している狂気を見せられることになります。
グッド、バッドどちらのルートでも。

 どうでもいいんだけど、このゲーム、 セーブ時にキャラクターのアイコンを設定することが出来ます。
章とは関係なしにキャラクターを選べるのですが、 第一章からの出演キャラが伊月、第二章がさやか嬢の一人づつなのに対し、 第三章では茜と透子の二人が出ています。
…選択肢一ヶ所しかないのにどーしろと。


 第四章

 お嬢。おわり。










……だめ?

じゃあ、

 にこー。おわり。










……まじめにやれって?
 まじめにやってるんだけどなー。

 ヒロインの名前が最後まで明かされない、というのはゲーム史上初ではなかろうか。
 名前というのは個人を識別するための固有名詞であり、 個人の心の最後の拠り所であります。 それがわからない、 ということが彼女の性格形成にどれだけの影響を与えたのかは想像を超えて余りあります。
それなのに。
 それにもかかわらず、彼女は今日もにこーと笑って辛く悲しい仕事を一人続けるのです。
 これで泣かずして何が男か!
 いくら言動が奇矯に見えようが体重26キロだろうが ないぺたつるぺた完全幼児体型だろうがそんなことは問題ではない!
 彼女に惚れずして何が男か!

 というわけで第四章はお嬢がいればそれでいいのです。






 ……それにしてもちとせに声がないのは納得いかん。


 さて、寝言はこれくらいにしてシナリオを見てみましょう。
ちなみに寝言にはその人間の本性が出るらしいですが。

シナリオ展開は大別してふたつ、お嬢ルートとちとせルートです。
どちらルートでも展開にほとんどかわりはありません。
お嬢ルートは真のルートだけあって全員生存、ハッピーエンドで終わります。
お嬢ルートでは愛そのものの存在だった千夏が、 ちとせルートでは愛を越えた狂気にそして暴走に…やっぱり壊れるのか…
それでもフラグを立てていればちとせルートでもきちんとハッピーエンドで終わります。
終わるように見えます。
終わっているはずです。
終わっていなければならないのです。

エンディングのテキストをよーく読んでみましょう。

最近少しあれだ、とか言われる華子、そして、―――鈴。

つまりは、結局、あの3人ともが…


さ、暗い話はこれまでにして、真のエンディングでも見てみましょう。
お嬢ルート、ちとせルート両方でハッピーエンドを見るとおまけ項目が増えます。
閉幕、いわゆる後日談です。
ここで出てくるお嬢がですね。
服装がですよ。

…つまりは、そういうことなのです。

他人の愛情を掠め取るような輩にハッピーエンドは許さない、とでも言いたいのでしょうか。

泣くぞ。




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